溺愛総長様のお気に入り。
千春ちゃんにバイバイをして、向かうはあやめ。
タンタンッ……と軽快に階段を下りていく。
なんだか心が軽くなったのは気のせいかな?
だけどあやめについたら、急に奥歯をかみしめたくなるような緊張に襲われた。
どんな顔して煌くんに会ったらいいんだろう。
いつも通りいられるかな。
ふぅ。
深呼吸をして、前髪とスカートの裾を整えて、ノックしようとした瞬間だった。
「きゃははは」
中からそんな声が聞こえてきたのは。
……え?
誰かいるの?
こんなこと今までなかった。
中には煌くんがひとりでいて、あたしが来るのを待っていてくれている。
ハクさんや翔和さんも、放課後はつばきにいるんだし。
それとも、今日はちゃんと応接室として使われてるとか……?