溺愛総長様のお気に入り。


「それにしても久しぶりだな」



そんなわけなくて。


聞こえてきたもう一つの声は、煌くんのものだった。



「ほんとだよ。何年振り?相変わらずカッコいいね」



その声にも聞きおぼえがあった。



「桜子、ちゃん……?」



少し高めの特徴のある甘い声は桜子ちゃんで間違いない。


どうして煌くんと桜子ちゃんが……?



「んなの、知ってるだろ」


「だよねー。あははっ。でも超タイプなんだもんっ」



しかもとっても親しげ。


頭の中が真っ白になる。


煌くんが、女の子と喋ってるのなんて聞いたことなくて。


──ズキンッ。


胸の奥に、感じたことのない痛みが走った。


なんだか、重い鉛を乗せられたように、苦しくて……。


中からは、相変わらず弾んだ会話が聞こえてくる。



ええと、ええと。

あたしはどうすればいいんだろう。
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