溺愛総長様のお気に入り。
「マジでなに?」
「なんでも、ないですっ……」
「嘘つけ」
「ほんとです」
「俺に隠しごとが出来ると思ってんの?」
腕をとられ、接近する顔。
──ドキッ。
こういう時、なんでもないフリをすることすらあたしは出来ない。
なんでも見抜かれちゃう。嘘のひとつも上手につけない。
聞きたいことを聞けないあたしは弱虫で。
『女なんて誰でもいい』
その言葉にひどく傷ついてる。
あたしのことなんてどうでもいいって思われていた方が楽だったはずなのに、もうそれがつらい自分がいるの……。
「……?」
煌くんの目が、あたしのある部分に気づいた。
「それ……」
……さっき薄いピンク色を乗せたばかりの唇に。
「み、見ないくださいっ」