溺愛総長様のお気に入り。
サッと口元を手で覆い隠す。
うきうきして唇に色なんて乗せて。
そのあと、なにが起こるかなんて知りもしないで。
ばかみたい……。
「だから、俺に隠し事なんて出来ねえんだって」
けれど、そんなものもあっさりと退けられてしまい。
煌くんの目の前で露になるあたしの唇。
「なんでそんなのつけてんの?」
「そ、それは……」
少しでも、煌くんに可愛いって思われたかったから。
みんながしているようなこの間みたいなメイクは、あたしには似合わないってわかってる。
だから唇だけでも……って欲をかいちゃったんだ。
「他の誰かに見せた?」
「……」