溺愛総長様のお気に入り。


「煌さんが来たよっ!」

「きゃっ、ほんとだ」



始業ぎりぎりになって、煌くんが教室にやってきた。


ドクンッ!


心臓が軽く跳ねた気がした。


……いつもあやめにばかりいるわけじゃなくて、気まぐれにこうして授業を受けたりもするんだ。


今朝の車の中では、ほとんど会話がなかった。


あたしは昨日の出来事を引きずっているし、煌くんも同じなのかも。


メイクをしたことについて、まだ怒ってるんだ。


煌くんは、結構頑固なところがあると学んだ。


よりによって、どうして今日教室に来るかな……。


余計に気まずいな……。



「やっぱカッコいいよね」


「ほんと目の保養」



煌くんが教室にくると、空気がいっぺんに変わった。いつも桜子ちゃんに群がっていた男の子たちですら大人しくなってしまう。


最近の桜子ちゃんフィーバーに面白くなさそうだった女の子たちの目も、久々に輝いた。


けれど。
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