溺愛総長様のお気に入り。


その後。休み時間にトイレに行ったら、たまたま桜子ちゃんと鉢合わせてしまった。



「わ、愛莉ちゃんだ!」



個室から出てきたタイミングが一緒だったのだ。



「桜子ちゃん……」



桜子ちゃんはニコニコ顔だけど……気まずい。


心の中で、出来れば関りたくないと思っちゃってるあたしだって、クラスの女の子たちと同じなのかもしれないな。


並んで手を洗う。


沈黙が余計に不安をあおって、何か会話を……そう思った結果。



「桜子ちゃんと、こ……鷹柳くんて知り合いだったの?」



そんなことを聞いてしまった。


自分から煌くんの話題を振るなんて、自爆同然かも。


でも聞かなきゃ気が済まなかったんだ。


──バクンバクン。


心臓の音が外に漏れちゃうんじゃないか心配になりそうなほど大きな音を立てている。
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