溺愛総長様のお気に入り。


「愛莉行くよ」



お昼休みになって。

教室にいるときはこうやって声を掛けられて一緒にあやめに行くけど、今日も例外なく声を掛けられた。



「は、はい」



もしかしたら今日はあやめに呼ばれないかも……と思っていただけに、ホッとしながらも桜子ちゃんが気になってしまう。


見られている気がして、鞄からお弁当を取り出すのでさえ手間取ってしまう。


トイレであんな会話したばっかりだし。


これを見たら、どう思う?


間違っても、あたしが煌くんを好きなこと、知られたくない。



「なにモタモタしてんの。早く」



すると、腕を捕まれた。


わわっ!


余計に目立ってしまう、と急いで準備をして連れ立って教室を出る。


その直前、振り返ったらじっとこっちを見ている桜子ちゃんと目が合ったけれど、気まずくてサッとそらしてしまった。

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