溺愛総長様のお気に入り。


昨日の今日で、あやめにいると思い出して少し気持ちがへこんでしまう。


煌くんとの仲も、なんだか昨日からすっきりしないし。


あたしがちゃんと理由を言うまで、煌くんはこの不和を解決する気はないように思えた。


だって、すごい態度に出てるもん。


……喧嘩しても、絶対に自分から折れないタイプでしょ。



ここへ来たのはいいけれど、会話もなく、やっぱり今日も自分の咀嚼音が耳に響いてなんだかいたたまれない。


チラッと目線だけを横にずらせば、なにを考えているのか全く読めない煌くんが、同じように親子丼を食べている。


……はぁ。


『女なんて誰でもいいんだよ』


昨日の煌くんの言葉にはショックだけど、桜子ちゃんがいるのに今日もこうしてあたしをここへ呼んでくれたことは、やっぱり嬉しかった。


もうあたしは用なしになるかも、とどこかで思っていたから。

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