溺愛総長様のお気に入り。
今まで車の中では割と密着度が高かったのに、今日のあたしと煌くんの間には人が一人座れるくらいの距離があって。
いつもは肩に回してくる腕も、胸の前で組まれている。
もしかして、遠慮してる?
煌くんらしくない態度に、それはそれで気になる。
煌くんは、あたしのトラウマの原因を作った相手なんだよね?
あの時のことは、今でもやっぱり許したくない気持ちがどこかにあって。
自分の気持ちがぐちゃぐちゃで、どうしたらいいかわかんないよ。
恋って、すごく素敵なものだと思ったのに。
恋が、あたしを苦しめる。
……どうしたらいいんだろう。
「なあ……」
少し遠慮がちに煌くんの手があたしの肩に触れた。