溺愛総長様のお気に入り。


──瞬間。


ビクッ。


肩が大きく揺れ、体が硬直した。


……自分でも、びっくりした。


煌くんに対して、小学生のときのように拒否反応が出てしまったこと……。


それに気づいた煌くんも、手を浮かせたままそれ以上下ろしてくることはなかった。


煌くんの目を見たあと、うつむくあたし。



「……どうした」



煌くんの声が静かに落ちる。


もう、覚悟は決めていた。


この休みの間、考えていたこと。



「煌くん……」



あたしは思いきって言った。



「もう……解放してもらえませんか……?」



これ以上、煌くんに溺れる前に。


これ以上、苦しくなる前に。


自分にストップを掛けなきゃいけないんだ。


『女なら誰でもいいんだよ』


その言葉を煌くんの口から聞いた瞬間に答えは出ていたはず。


煌くんはあたしに本気じゃないって。


そして小学校時代のことを聞いた今、もうどうするかなんて考えてる間でもないんだよね?

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