溺愛総長様のお気に入り。
久しぶりの屋上はポカポカと気持ちがよく、季節も変わったんだな……と肌で感じる。
千春ちゃんと並んでお弁当の蓋を開けるのなんてすごい久しぶりだなぁ。
ちなみに、あたしのスマホにはなにも音沙汰はなし。
あやめに行かないこと、煌くんはわかっていたのかな。
自分でそう決めたくせに、なにも言われないのが寂しい……なんて、勝手だよね。
「久々に愛莉とお弁当食べられて嬉しいなっ」
「ねーっ!嬉しい!」
嬉しいことを言ってくれる千春ちゃんに、気持ちを切り替えあたしもうんうんとうなずく。
「ねえ……ここでご飯たべようなんて、もしかしてあの子が原因?」
千春ちゃんが、少し言いにくそうに切り出した。
「えっ……?」
あの子?
…………ああ。
桜子ちゃんのか、と悟って。
「桜子ちゃんが、どうかしたの?」