溺愛総長様のお気に入り。
***
「足大丈夫か?」
放課後、あたしの隣には寄り添うように南里くんが歩いてくれてる。
あやめに行かないことは煌くんから聞いていたのか、一人で教室を出ようとしていたら南里くんに捕まえられたんだ。
『俺も一緒に帰る』って。
「大丈夫なのに、なんかごめんね?」
ひとりで帰れるって言ったのに、南里くんは聞いてくれなくて。
煌くんならまだしも、南里くんがこんなに強情なんて初めて知ったよ。
告白のこともあるし、なんとなく気まずい気持ちがあるあたしは、隣に南里くんがいるだけで意識してしまう。
なのに、南里くんはそんなこと一切気にしてないようだからまた、どうしていいのか分からないんだ。
ケガをした日は、学校からタクシーで向かった。『今日こそ煌の車だよな』なんて笑いながら。
今日は、駅まで歩いてそこから電車に乗る。煌くんに出会う前の通学経路で。