溺愛総長様のお気に入り。
久々に歩く道に、なんだか懐かしさを覚えた。
「南里くん、バイクじゃないの?」
いつも、あの倉庫に行っているんだろうからバイクで来てるはずなのに。
「そうだけど、送ったらまた戻ってたまり場行くし」
「ええっ、そんなのなおさら一人で帰るよ!」
「今まで煌に取られてた分、俺にも送らせてよ」
「……っ!」
あの告白なんてまるで無かったかのようにふるまっていたのに、いきなりここで出されてなんて言っていいかわからない。
『煌に取られてた』なんて。
いつもチャラい雰囲気が出てるだけ、まだドキドキせずに済むんだけど。
同じ男の子でも唯一大丈夫だった南里くんなのに、今や違う意味で南里くんと一緒にいるのが心臓に悪いよ……。
それでも南里くんは今までと全然変わらなくて。
それが救いだった。