溺愛総長様のお気に入り。
「愛莉ちゃんにね、煌が虹宮小学校にいたこと言っちゃった~」
愛莉がケガをした翌日。
あやめに一人でいると、昼休みに桜子がやってきて言われた言葉に俺は固まった。
……マジかよ。
「あれ?ダメだった?」
まるで悪気のない桜子。
幼いころからお嬢様として育ち、天真爛漫な彼女は本当に悪意はないんだろう。
俺は心の中で深いため息を吐き、隣にない温もりに物足りなさを感じながら飯を食う。
俺は、小学校の頃から愛莉を知っていた。
小学校4年の終わりに転校したが、それまで愛莉と同じ小学校で過ごしていたのだ。
愛莉は当然ながら覚えているはずはなかった。それの方が都合が良かった。