溺愛総長様のお気に入り。
自宅には何人もの使用人がいるから、俺一人での帰国に両親は特に心配もしていなかったらしい。
けれど高校に上がったと同時、俺はひとり暮らしをしたいと両親に申し出た。
あれこれ干渉されながら暮らすのは窮屈で居心地が悪くてたまらねえ。
御曹司扱いされながら暮らすのは性にあわない。
反対に、帝はどこから見ても御曹司だ。それも上辺だけだが。
腹黒いくせに、愛想をつくるのは天才的で、なんでも器用にこなす。
……ムカつく奴だ。
親にとっても俺は扱いにくい存在なのか、願いはあっさりと聞き入れられ、警備も万全なマンションの最上階に住んでいる。
一人で住むにはデカすぎる部屋だ。
「てか、オマエこそ帰れよ」
「こんなに部屋が余ってんのに、追い出すことないだろー」
部屋数の問題じゃねえ。
帝といることが窮屈なんだっての空気で察しろ。
帰国してすぐにここへ転がり込んできて、ここから高校へも通っている。