溺愛総長様のお気に入り。
俺と愛莉は同じクラスになったことはない。
そもそも、帝が双子だと知っていたのかも怪しいのだから、俺のことなんて知りもしなかっただろう。
「女遊びも大概にしろよ」
俺がどんな思いでいるかも知らずに笑い飛ばす帝に、はらわたが煮えくり返り、そんな言葉を投げた。
「余計なお世話」
相変わらずな帝の言葉に呆れ、俺はシャワールームへ向かった。
「……ったく誰のせいで」
蛇口をひねり、熱いシャワーを頭からかける。
小学生の時、帝には同じクラスに好きな女がいた。
それが、愛莉──。
幼稚な帝は、愛莉に『ブス』だの暴言を吐いていた。
帝なりの、下手な愛情表現だ。
構ってほしいが故の、幼稚なもの。
けどそんなことがわかるわけもない愛莉は、いっぺんに帝に苦手意識を抱き、男ギライにまでなってしまったらしい。