溺愛総長様のお気に入り。


『でこっぱち』なんて言う帝の心無い言葉で、伸ばしていた前髪を切り、見えなくなってしまった額。


あれ以来、しっかりと眉の少し下で切り揃えられるようになった前髪。


額を出してポニーテールする元気な姿が可愛かったのに……。


だから俺は、何度もその額にキスしてやるんだ。


幸いにも、愛莉は"俺"の顔も、鷹柳という名前にも覚えはないようだった。


愛莉との出会いを一からやり直し、嫌がられてもウザがられても、いつか俺のモノして見せてやる──。


やり方は強引だったが、だんだん俺に気と心を許し始めているのも雰囲気で感じ取っていた。


すべて、うまくいくはずだった。


桜子の転入という不測の事態で覆されることになるまでは。


本当なら帝と同じ学校が良かっただろうに、聖鴎学園は男子校だから桜子は通うことができず、俺のいる白百合を選んだらしい。

< 361 / 401 >

この作品をシェア

pagetop