溺愛総長様のお気に入り。
それにしても、愛莉がいない空間がこんなにも霞んで見えるなんて。
花が咲くかのように笑い、俺の言動にいちいち顔を真っ赤にして。
だんだん俺に慣れていく愛莉を見て、毎日好きな気持ちが膨らんでいった。
止められるわけねえ癖に、手放して……。
何度も口づけた額。
唇だけは……ちゃんと恋人同士になったら……って思ってた。
もう、俺にはそんな余地すら残ってねえのか?
こんなことなら、強引にでも奪っときゃ良かった。
「なんだよ、らしくねえじゃん。総長がそんなだと締まらねえぞ」
「だったらお前が総長になれよ」
「はあ?本気でおかしくなったのか?」
「なんとでも言えよ」
もうどうにでもなれ。
なげやりな気分でいると。
──ガラッ!
血相を変えて南里が飛び込んできた。