溺愛総長様のお気に入り。
あてがあるわけじゃない。
ただ、守りたい一心が俺の足を動かしていた。
俺の女、として。
行きも帰りも、俺の家の車でともにしていたのは、もちろん一緒にいたいからというものもあったが、もっと別の理由があった。
鳳凰の総長が囲っている女として、他の族から愛莉が狙われたら困るからだ。
不本意だが、愛莉から距離を置かれてる今、南里にその役目を頼んでいた。
その時、俺のスマホが鳴った。
こんな時に誰だ?
……こんな時だからかもしれない。
胸騒ぎがして、慌ててスマホを取りだすと。
「愛莉……?」
画面に表示された名前を見て、眉をひそめた。
愛莉が俺に電話をかけてきたことなんて一度もない。しかもこんなタイミングで。
……愛莉じゃないだろ。
「……誰だ」