溺愛総長様のお気に入り。
通話を押し低い声でそう放つと、向こうからは鼻で笑うような声が聞こえた。
……やっぱりか。
画面に愛莉の名前が現れた時点で、もう愛莉は誰かに捕まっている、そう確信せざるを得なかったんだ。
「相変わらず機嫌わりいなあ」
ソイツがやっぱり鼻で笑うようにそう言うと、周りではドッと笑う声が聞こえた。
……っ。
「誰だお前」
「おっと、そんな口利いていいと思ってんのか?」
俺の弱みを持っているからこその上から口調。
こんなにも早く愛莉が捕まってしまったのかという落胆と、守り切れなかった自分に腹が立ってしょうがない。
「さすが天下の鳳凰だな。分かってんなら話ははえーわ。ただし、俺を怒らせたら、大事なお姫様がどうなるか分かんねえぞ。言葉には気をつけろ」
「……そいつになにした」