溺愛総長様のお気に入り。
拉致
あれからずっと、南里くんは一緒に下校してくれている。
足のケガは完治したし、ひとりで帰れるのにずっと疑問だった。
もしかして、煌くんと仲たがいしたことで何か気にしてくれているのかな。だったらすごく悪い気がしてならない。
そもそも、南里くんにはまったく関係のないことなのに。
それに、南里くんの気持ちを知って気まずいのも確か。
『ちょっと用があるから、下で待ってて』
HRが終わった後。南里くんにそう言われて、しばらく昇降口で待っていたんだけれど。
思えば思うほど、送ってもらう意味がないことに申し訳なさが募った。
いつまでもこんなこと続けるわけにいかないのも分かってる。
だったらいつかやめないと。……それが、今日のタイミングなのかも。
あたしは南里くんを待たずに、そのまま一人で学校を出た。