溺愛総長様のお気に入り。
ひとりで下校するの、久しぶりだな。
いつも誰かが隣にいたから、ひとりがこんなに寂しく心細いなんて知らなかった。
……しょうがないよね。
トボトボと歩いて、もうすぐ駅、というところまで来たとき。
「参ったなぁ……」
聞こえてきたのは男の人の声。
ふと見ると、スマホを手にした男子校生がものすごく困った顔をしていた。
どうしたんだろう?
昔から困っている人がいると放っておけないタイプのあたし。
なんとなく気になって見ていると、目が合ってしまい。
「あのすみません」
彼は小走りに寄ってくると、物腰低そうに話しかけてきた。
──ドクンッ。
まさか話しかけられるとは思わず、身構えてしまったけれど。