溺愛総長様のお気に入り。
こんなこともあるよね。人助け出来たなら良かった。
ホッとしたように電話を続けている彼に再び目を向けると。
「えっ……」
話をしながら歩き始めていた。しかも、あたしから遠ざかっていくのでびっくりする。
あたしのスマホを持ったままどこへ行くの!?
大通りから細い裏路地と入っていく彼を慌てて追いかける。
「あのっ……」
背後から声をかけた瞬間、彼は速度をあげた。
えっ……ちょっと……!
わけが分からないまま追いかけ続け、路地を曲がって曲がってどこにいるのか分からなくなったとき、彼をも見失ってしまった。
「嘘でしょ……?」
どういうことだか分からないままに立ち尽くすと、突然両脇を誰かに取られた。