溺愛総長様のお気に入り。
「大人しくしてろよ」
耳元で低くささやかれる声。
「……っ」
あたしは、喉の奥が詰まったようになり、一気に声が出なくなる。
一瞬にして背筋が冷たくなった。
両側には知らない男がふたり。そしてちょうど、目の前に車が付けられて。
「乗れよ」
「やっ……!」
そのままあたしは、抵抗もむなしくその車に押し込められた。
なに、なんなの……?
左右には男。運転席も男。助手席には……さっきスマホを貸した男子高生。
困っていたあのときとはがらりと表情を変え、不敵に笑っていた。
……え、どういうこと……?
サッと血の気が引いた。
なにこれ、誘拐?スマホ貸して……って、さっきのは嘘だったの?
「やだっ……!降ろしてっ!」
「うるせえなぁ」
いくら叫んでもわめいても、男たちは素知らぬ顔。