溺愛総長様のお気に入り。
前にもこんなことがあった。
手紙で騙されて怖い目に遭った。
あんなことが二度も起きるなんて夢にも思わなかったし、ましてや学校の外。
子供でもないあたしが誘拐されるとか考えたこともない。
……なんで?
どうしてあたしばっかりこんな目に?
あの時は、煌くんと翔和さんに助けられたから良かったものの。
今回は誰もこの状況を見てないわけで……あたし、どうなるの……。
自分の置かれた状況が分からず……とにかく怖くて……あまりの恐怖に、あたしの意識はいったんそこでプツリと途切れた。
次に目を覚ましたのは、誰かが電話している声が聞こえたからだ。
ここは何かの事務所のようで。
髪を銀色に染めた柄の悪い男が、あたしのスマホでどこかに電話をかけていた。