溺愛総長様のお気に入り。


「このまま降伏すれば、お姫様は無傷で返してやってもいいが……下手に動いたら、鳳凰の姫は綺麗な身体で帰れないと思え」



そういった瞬間、電話の向こうから何か叫んでいる声が聞こえてきた。


鳳凰の姫って。


えっ……。もしかして、電話の相手は煌くん……?


あたしを人質にとって、煌くんを呼び出そうとしてるの?


だんだんと事情が飲みこめてきた。


これは暴走族同士の喧嘩かなにかに、あたしが巻き込まれたのだと。


たまたまあたしが誘拐されたんじゃなくて、はじめからあたしを狙っていたんじゃないか……って。


下手に動いたらっていうのは、鳳凰で乗り込んできたらということを意味しているのかも。


とすると、煌くんは……。


まさかひとりで来るの?


……怖いから助けてほしい。


でもここにひとりで来たら勝てるわけない。煌くんが犠牲になるもイヤ。
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