溺愛総長様のお気に入り。


でも、10人も相手がいたらどんな最強な人でも無理なのは百も承知。


それがわかっていて、煌くんはひとりでここへ来た。


それはあたしのため……?


『下手に動いたら、鳳凰の姫は綺麗な身体で帰れないと思え』


そんな風に、言われたから──。



「うっ……うっ……」



動くこともできず、あたしは涙をこぼすしかできない。


でも、煌くんは強いから……絶対に大丈夫……。


心の中で、ただひたすらに祈り続けていたとき。



「は?鷹柳がふたりっ!?」


「ど、どうなってんだよ!」



部屋の向こうで変なことを口走る男たち。


煌くんがふたりって……。


どうしたの?


なに?幻覚でも見えてるの!?


どうなっているか分からなくて、でもあたしはそこから動けなくて。

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