溺愛総長様のお気に入り。
「うわあっ!」
それでもドア越しに、向こうの状況が変わったことが感じ取れた。
相手側が劣勢になっているような声が聞こえてきたから。
「てめえっ……よくもっ……!」
同時に、しばらく聞こえてなかった煌くんの声まで聞こえるようになる。
きっと味方が加わったんだ。
希望の光が見えた気がして、あたしは涙を拭いて、ただひたすら祈った。
しばらくすると、ドアの向こうは静まりかえり。
終わったの……?
張り裂けそうな胸でで深く呼吸をしたあと、耳を澄ますと。
「……んで来たんだよ」
煌くんの声。
煌くんが勝ったの……?
でも、相手の男たちの声は聞こえないからきっとそうなんだと確信した。
誰か、仲間が応援にきたってことだよね。
ハクさんとか?もしかして南里くん?
「帝」
けれど、煌くんが呼んだ名前はあたしが知らないものだった。