溺愛総長様のお気に入り。


どんなに強くたって1対10なんて……。


それでも対等に闘えていたことはすごすぎる。


思い出せば、じわっと涙が溢れた。


それを煌くんが優しく拭ってくれて……。



「ありがとな」



トクン……と胸が鳴った。


……ああ、やっぱりあたしは煌くんが好き。

そう確信する。



手当てを終えると、あやめみたいにソファに並んで座ったあたしの肩を煌くんが抱いた。



「やっぱダメだ……」


「……え?」


「解放なんて出来ねえ」


「……煌……くん……」


「愛莉がなんと言おうが、俺は愛莉が好きだ」



素直に嬉しかった。


まっすぐな瞳でそう告げる彼の言葉には、一点の曇りもなくて。


あたしも好きです──そう伝えようとしたとき。


ガチャガチャと玄関で物音がした。


思わず肩がビクッと上がる。


怖い男の人たちが追いかけて来たのかと思って。
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