溺愛総長様のお気に入り。


……煌くんは、あたしがどうして離れて行ったか知っていて、自分のせいじゃないのに、それを受け止めようとしてくれていたんだ。


……なんて、優しい人……。


煌くんへの想いが、もっともっと膨らんでいく。



「だからって、帝のことは許さねえけどな」



顔を上げて、帝くんをせめて立てる声が聞こえた。


……もしかして、煌くんと帝くんは仲が良くないのかな。


家族もいるのに、ひとり暮らしなんて。



「愛莉ちゃん、ほんとにごめんね」



許さないと言った煌くんには言葉を返さず、繰り返し謝罪を口にする帝くん。


あのときのことなんて、もう時効なはず。


それに、本気で意地悪していたんじゃないなんて知ったら……。


あたしは黙って頷いた。



「でも、ひとつだけ……」



そう零したあたしに、ふたりは同じ顔で黙って耳を傾ける。



「好きな人には、ちゃんと好きって伝えてくださいね?」

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