溺愛総長様のお気に入り。
彼に限ってない。
絶対に違うって断言できる。
むしろイヤな予感しかないよ。
「ほら早く行かないと」
千春ちゃんにせかされて、あたしは渋々彼の前に行った。
「……っ」
彼は気まずそうに眼をそらす。
昨日壊れたものとはちがう、淵のあるメガネの真ん中を抑えながら。
それはそうだよね。
助けてあげたのに、最終的にあたしを悪者扱いしたんだから。
「あの、昨日はその……ありがとうございました」
引け目があるのか、目を合わせようとしない彼。
昨日は強気に出ていたのに、今日は翔和さんがいないからか、やけにしおらしい。