溺愛総長様のお気に入り。
階段を下りて歩き続けること数分……。
「南里くんっ、どこ行くの?」
「それは行ってのお楽しみ~」
困っているあたしを助けてくれたのかな?って思ったけど、ちがうみたい。
ほんとに目的があるように歩き続けていく南里くん。
どこに行くんだろう?
やがてやってきたのは、応接室がずらりと並ぶフロア。
白百合には、お客様が来た時の応接室が複数ある。
"あやめ""ゆり""つばき"など、行書体で書かれた部屋の名前には、それだけで神聖で厳かな場所なんだと思わせる。
一般の生徒が入っちゃダメってことは百も承知。
「ねっ、ねっ、こんなとこ来ちゃって平気なの?」
基本生徒は立ち入り禁止区域になっていて、もちろんあたしだって来たことはない。