溺愛総長様のお気に入り。
「いーのいーの。ちゃんと用事があるんだから」
なんの用事かな?
先生が生徒を呼んだとしても、こんなところは使わないはずなのに。
すると『あやめ』と書かれたドアの前で、南里くんは足を止めた。
えっ、もしかしてここに入る気?
「ねえ、南里く……」
────ガラッ!
あたしが言い終わらないうちに、南里くんはドアを開けた。
わっ、勝手に開けちゃっていいの?
来客中だったりしたら……。
「ちーっす」
元気のいい南里くんの声をBGMに、見えた中の光景に唖然とした。
部屋の真ん中に置かれたソファで踏ん反り返っていたのは、銀髪の彼だったのだから。