溺愛総長様のお気に入り。
それともうひとり、翔和さんも。
まるで番人のようにその脇に立っている。
……どうしてあたしをこんなところに連れてきたの?
助けてくれたと思ったのに、結局来ちゃったじゃん!
あたしが男ギライって知ってるはずなのに。
南里くんすらもう味方じゃなく思えて、千春ちゃんの腕をぎゅっと握って背後にまわった。
怖い。ただひたすらに怖いよ。
「アイツじゃ話になんねえわ。だから初めから俺が連れてくるって言っただろ?」
南里くんがそう言う意味がわからない。
俺が連れてくる?
なんの、こと?
「チッ」
南里くんの言葉に軽く舌打ちした彼は、ドアを閉めるようにジェスチャーした。
すると南里くんはあたしと千春ちゃんを中へ押し込んで。
────バンッ。
ドアを閉めてしまった。