ツインテールの魔法
四人は部屋の真ん中にある大きな机を囲む。
八人くらい座ることの出来る大きな机だから、結構机が余っている。
「部員はお前たち三人なのか?」
一番に口を開いたのは、日野だった。
「ううん」
「いいえ、だ。三年生で、あと二人います」
紘は夏音の返答を訂正し、日野の質問に答えた。
「三年か……」
「なにかあったんっすか?」
中途半端な敬語で、蒼羽が聞く。
日野は俯き、重い口を開いた。
「それが……」
そこまで言って、沈黙が訪れる。
三人は次の言葉を大人しく待つ。
「……一年の学期末試験の問題用紙が盗まれたんだ。英語と世界史、二科目」
「問題用紙?期末試験?」
夏音の驚いた点に、日野は思考が停止する。
「明後日からテスト週間。忘れてたのか?」
「謎解きするので一生懸命だった。紘くんが作る問題難しくなってるから」
紘は深くため息をついた。
「それで、どうしてそのような話を僕たちにされたんですか?」
「犯人を……捕まえて欲しい」
「捕まえてどうするの?」
それは夏音の素朴な疑問だった。
だから、幼い子供が大人に「なんで?」と聞くような表情をしていた。
「試験問題が盗まれたなら、別の問題を作ればいいよね?だって、まだテスト週間になってないんだし」