ツインテールの魔法
不覚にも負けたと思ってしまった。
「……都築のくせに」
「紘は俺のことバカにしすぎだと思うんだよね」
蒼羽はそう言って笑うと、廊下に出た。
「ノンちゃん、探しに行こうぜ」
「言われなくても」
紘は部室の電気を切り、部屋を出た。
「こんにちは」
二人が外に出てドアを閉めたとき、声をかけられた。
同時に声がしたほうを向くと、顔を顰めた。
「藤宮さん……」
「なにしに来た」
そこに立っていたのは、麗だった。
二人の反応を見て、麗はくすくすと笑う。
「そんな邪険にしないでくださる?相変わらず怖い顔しかできないのね、桃城紘」
紘の顔はますます怖くなっていくが、麗はそれを見てさらに笑う。
「紘、藤宮さんと知り合いなの?ノンちゃんも様子が変だったけど……」
「中学時代にちょっと」
紘はそれしか言わず、麗を睨むとはまた違う、複雑な表情を浮かべている。
蒼羽はモヤモヤした矢先、こちらに向かってくる夏音を見つけた。
夏音は麗に気付き、踵を返した。
「ノンちゃん!」
蒼羽は慌てて夏音を追いかける。
しかし、麗に行く手を阻まれた。
「なんなんだよ、あんた!なにがしたいんだよ!」
さすがに我慢の限界で、蒼羽は怒鳴った。