ツインテールの魔法
勝手に勘違いしたことと、麗の言葉で一気に恥ずかしくなり、顔を赤くした。
「……呼んでくる」
逃げ出すように足早に去っていく蒼羽の背中を見つめる。
すると、隣を歩いていた友人に肩を叩かれた。
「なにしてんの、行くよ」
「……ごめん、先行ってて」
彼女は持っていた荷物を預け、なびく黒髪を追いかけた。
◇ ◆ ◇
殺伐とした空気の中、ミステリー研究部の催し物の準備が進められていた。
「確認して」
紘と夏音の会話は必要最低限となり、お世辞にも仲がいいと言えるような状態ではなかった。
紘は作成した暗号を夏音に渡す。
今回の催し物はステージ発表に決定した。
変更は出来ないということで、夏音が折れたのだ。
そして夏音が提案した暗号大会が行われることになった。
紘が作っているのは、そこで使う暗号だ。
「もう少しヒントがあってもいいと思う。難しすぎてもつまらないだろうから」
夏音らしくない淡々とした物言いだが、紘はなにも言わなかった。
「これでどうだ?」
むしろ、初めからそうだったと思わせるような接し方をする。
「うん、よくなった」
そして再び沈黙となる。
と思ったら、その沈黙に気を使ったような小さなノックの音がした。