ツインテールの魔法
戸惑う蒼羽を見て、夏音は自分の言ったことを思い出し、自分の頬に触れている蒼羽の手を掴んだ。
「ち、違っ……わないけど……みんなの暗い顔、見たくないの……」
蒼羽は混乱している夏音の頭に手を置いた。
「楽しいのが好きなのは俺も一緒だよ。じゃなかったら、イタズラなんて子供みたいなこと、やらないし」
夏音は蒼羽の笑顔で少し安心した。
「そう言えば……蒼羽くん、最近ノンにイタズラしないね」
「まあ……うん、それはね、ほら……今関係ないし……」
蒼羽は慌てて夏音から手を離す。
隠したところで意味がないとわかっていても、なんだか気恥ずかしくなった。
「そ、そんなことより、俺は過去になにがあったか知りたいなー……なんて」
「……知ってどうするの?」
蒼羽はため息をつくと同時にその場に座り込む。
「ノンちゃん、座りなさい」
言われるがまま、蒼羽の前に座った。
蒼羽は床についた夏音の手の上に自分の手を置く。
「ノンちゃんが抱えてるものを軽くしたい。それは、ノンちゃんのことが大切だから。これじゃ……理由にならないかな?」
二人の間に沈黙が流れる。
蒼羽が説得に失敗したと、諦めかけたそのとき、夏音が口を開いた。
「……去年、うーちゃんと紘くん、ノンは生徒会役員だった」