ツインテールの魔法

「だって、生徒に人気な三人が選ばれたんでしょ?だったら、そうかなって。まあ何人かはノンちゃんたちを疑ってただろうけど……特に紘ね」


夏音は戸惑いながら笑う。


「いろんな噂が流れた。尾ひれがついていって、最終的にはうーちゃんと紘くんが実は付き合っていて、うーちゃんが紘くんに偽りの記録をさせたってなった」


それが嘘であることは、蒼羽でもわかった。
あれだけ夏音のことしか考えていない紘が、麗と付き合うなどありえないと思った。


「で、どれだけ否定してもみんなそれを信じちゃって、聞く耳を持ってくれなくて。こうなったら、ノンがうーちゃんの無実を証明するしかない!と証拠を探したのですが」
「中学生には限界があるよね、そりゃ」


夏音は蒼羽の言葉に頷く。


「ノンたちはすぐに生徒会役員をクビになって、生徒とか教師から後ろ指を刺されるようになった。……うーちゃんは、学校に来られなくなった。卒業式も出られなかった」


蒼羽は麗の過去を信じられなかった。


そして、自分が疑われたときに夏音が日野に言った言葉を思い出す。
麗のことがあったから、夏音はあんな風に言ったのだと納得した。


「うーちゃんは校長室で一人で卒業証書を受け取った。その日……偶然うーちゃんと会って……面と向かって言われたの。あんたのせいだ、あんたなんか嫌いだ……あんたはただの偽善者だって」


夏音の頭の中で、麗の憎しみのこもった目が思い出される。
< 116 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop