ツインテールの魔法

これまでに得た情報を一度整理してみると、疑問が浮かび上がってきた。


「……ノンの衣装を狙っての行動なのかな?」
「どういう意味?」


夏音の疑問に質問を投げたのは、ずっと黙って聞いていた蒼羽だった。


「いやほら、ただ衣装を壊したかったって可能性はないのかなと思って。ノンたちのクラスを妨害しようとした……とか」
「それはどうだろう……たかが高校の文化祭でほかのクラスの邪魔をする理由はないと思うし……」


文化祭委員にそう言われて、新たに立てた仮説が正しい可能性は薄くなった。


「でもどれが誰のかは、ひと目でわかったと思う」


衣装係の一人が夏音の横に立ち、衣装のイラストを描く。


「この首のところに名前を描いてたの」


それを聞いて、夏音は考え込む。


「どっちの可能性もある、か……」
「あ、あの……」


夏音が頭を抱えていたら、誰かが手を挙げた。
声の主を探すと、ドア付近にいた紘の後ろから顔を覗かせている女子生徒がいた。


「誰?」


彼女はおずおずと教室に入る。


「わ、私、桃城さんたちと同じ中学出身で、藤宮さんが転校してきたのが信じられなくて……だから、話を聞きたいと思って、都築くんと別れた藤宮さんの後をつけて、ました……」
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