ツインテールの魔法

彼女はなにかに怯えながら話していく。


「藤宮さんは、やってません……桃城くんたちが衣装のことを伝えに行っている間に、藤宮さんは衣装を返していたので……」


自信なさげな発言で、麗の身の潔白が証明された。

彼女が語尾を小さくしたせいか、教室には妙な空気が流れる。
それに気付いた麗は、小さくため息をついた。


「……悪趣味ね」
「ご、ごめんなさい!」


彼女は即座に頭を下げた。

ゆっくりと上げられた顔と、夏音は目を合わせた。


「……犯人は見てない?」
「えっと……人が多くて、誰が出入りしていたかは……」


結局麗の潔白が証明されただけで、真相には近付けなかった。
さすがの夏音も、今すぐに真相を暴くことは難しいと判断した。


「犯人は気になる!でも、これ以上ここで時間、使えないよね?」


その一言で静かだった教室が一気に騒がしくなる。
すると、手を叩く大きな音が二回聞こえ、その場は再び静かになった。


「夏音ちゃんの言う通り!それぞれ、これ以上なにかを壊されないように注意して、作業を進めて!」


みんな納得のいかないような表情を浮かべていたが、その子に促されて作業を再開した。


「さすが文化祭委員」
「なるべくしてなったって感じだよね」


夏音と蒼羽は感心した。
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