ツインテールの魔法
そんな二人を無視し、麗は証言してくれた彼女の前に来た。
「ふ、藤宮さん……?」
麗はしばらく戸惑う彼女を見つめると、頭を下げた。
「あなたの証言、感謝いたします」
「え……」
麗は体を起こし、微笑んだ。
「あなたがいなかったら、私はまた罪を着せられるところでした」
「待ってよ、うーちゃん!ノンは!?」
夏音は二人の間に入った。
そこには、麗に怯える夏音はいなかった。
麗の冷たい視線が夏音に向けられる。
「あなたはことを大きくしただけでなくて?みなさんがなにかに怯えながら作業をしなければならなくなったのは、どなたのせいかしら?」
「紘くん、うーちゃんが酷いこと言う!」
夏音は紘に助けを求めた。
紘は安心すると同時に、呆れた。
「藤宮が正しい」
「紘くん!?うーちゃんの味方になるの!?」
元気に騒ぐ夏音に、思わず笑みがこぼれる。
「うるさいわよ。……夏音」
夏音は一瞬静かになった。
しかし、すぐに紘の肩を叩く。
「紘くん、聞いた!?今、夏音って!夏音って言ってくれた!」
「聞いてたから、叩くのをやめろ」
紘は夏音の手を掴む。
だが、夏音は簡単に紘から逃げる。
「うーちゃん、一緒に来て!」