ツインテールの魔法

麗の腕を引いて、夏音は教室を飛び出した。


「簡単に立ち直っちゃったねー」


蒼羽は二人の背中を見つめる。


「お前がなにか言ったんじゃないのか?」


蒼羽は少し不思議そうにすると、切なく笑った。


「俺はノンちゃんに過去にあったことを聞いただけ。ノンちゃんがあれを見て、藤宮さんを助けなきゃって思ったんじゃない?」


紘も夏音たちの行った先を見つめる。

夏音は麗と腕を組み、ときどき見える表情は楽しそうだった。


「強く……なってたんだな」


今まで大切に、傷付けないようにしてきたからこそ、夏音の強さに気付けず、驚いた。

少しばかり寂しいような、やはり自分が無力のような気がした。


落ち込んでいるように見えた紘に、蒼羽は方を組んだ。


「これでノンちゃんが紘に執着する理由がなくなったな」
「……どういう意味だ」


紘は蒼羽を押しのける。

紘に睨まれ、蒼羽は大人しく手を離した。


「ノンちゃんが本当に好きなのはどっちかってこと」
「後悔をなくしたところで、根本的なところは変わっていないと思うが」
「あー、そっか……そうだよなー」


蒼羽は教室に入ろうと一歩踏み出したとき、あることに気付いた。
蒼羽は振り向く。
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