ツインテールの魔法

「……お前が今さらなにを言っても遅い。あれはもう部誌になったんだ。……僕は、お前に否定されて自信がないまま載せることになった。だから……邪魔したんだ」


彼は夏音に背を向け、一歩踏み出す。

その背中に、夏音は呼びかける。


「ごめんなさい!」


彼は振り向かなかった。


「一件落着?」
「です!」


紘が聞くと、夏音は満面の笑みで答えた。


「あいつ、一言も謝らなかったな。いくら夏音に言われたからって、やっていいことと悪いことがあるだろ」
「ノンが悪いもん。部室荒らされるくらい」
「衣装のことは頭から抜けてるのかしら?」


麗に遮られ、夏音は少し考える。


「あ!」


どうやら本当に忘れていたらしい。
紘はため息をつくと、彼が歩いて行った方に進んだ。


「俺が連れてくる」
「じゃあ、ノンたちは先に教室に行ってるね!ノンのせいでみんなに迷惑かけたし、謝らなきゃ」


そういうわけで、夏音と麗、紘は再び教室に戻った。


◇ ◆ ◇


「……と、いうことです。本当に、ごめんなさい!」


夏音と彼は教室の前に立つ。
夏音は今回の事件について要点だけを説明をすると、頭を下げた。


「……すみませんでした」


続けて彼も頭を下げる。
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