ツインテールの魔法
夏音の変わりようよりも、日野からの話をなかったことのようにした姿にも驚いた。
「待って、ノンちゃん。依頼は?」
「ノン、探すって言ってない」
夏音はどこか、怒っているようだった。
その冷たさは、紘と似ているところがあり、やはり双子だと思った。
「教室では任せろって……」
「悪いことする人なんか助けないもん」
蒼羽は言葉を失った。
夏音なら無条件で自分の味方になってくれると心のどこかで思っていた。
今まで散々からかってきて、助けてほしいなど虫のいい話なことはわかっている。
それでも、疑いを晴らしてほしかった。
自力ではどうにもならないと、わかっているからこそ、夏音の力に頼りたかった。
「あの……夏音さん……助けて、ください」
すると、夏音は首を傾げた。
「どうして、蒼羽くんを助けるの?」
「それは、俺が……」
「あ、そっか!ノン、先生に協力しない!って思ってたけど、そしたら蒼羽くんぬれいを着せられたままなんだ!」
「濡れ衣(ぎぬ)、な」
いいことを言ってくれそうなところで、夏音はまた間違えた。
蒼羽は弱々しく笑う。
「ごめんね、蒼羽くん。ノン、そこまで頭回らなかった」
「……そこは期待してないから大丈夫」
蒼羽は小さく続けた。
「でもね、蒼羽くん。真犯人さんは見つけられないよ」