ツインテールの魔法
4
一週間後、校舎はいつもと違った色を見せていた。
「え、ノンちゃん!?」
着替えを終えて教室に戻ってきた夏音を見て真っ先に驚いたのは、蒼羽だった。
夏音の髪型がツインテールではなく、おさげになっていたのだ。
驚く蒼羽に、夏音は笑ってみせる。
「へへ、可愛い?」
笑ってフリル付きのスカートをひるがえす夏音を抱きしめたくなる衝動に駆られたが、それよりも気になることがあった。
「超絶可愛いけど……大丈夫なの?」
そう心配してくれる蒼羽の顔を覗き込むように首を傾げる。
「蒼羽くんが軽くしてくれるんでしょ?」
「も、もちろん!」
即答だった。
それに満足したのか、夏音は文化祭委員のところに行った。
「よく……あの子を変えることが出来たわね」
後から入って来た麗は、ストレートの黒髪をポニーテールにしていた。
周りの男子の視線を集めている麗は、どこか紘を思い出させる。
夏音は過去から逃げたいと、そう主張していたことは自分の目で見た。
だからこそ、夏音があそこで麗を助けに動いたことは信じられなかった。
あれまでの間にあったこととすると、夏音に過去にあったことを聞いただけだ。