ツインテールの魔法

その自虐を認めてしまうと、見直した自分が馬鹿らしくなってしまうからだ。


「私はあなたのほうが素敵と思う。ただ、紘を選ぶか都築くんを選ぶかは夏音よ。……それともどちらとも選ばないかという選択肢がないわけではないけれど」


こんな会話が繰り広げられていると知らずに笑っている夏音を見ると、つられて笑顔になる。
あの笑顔が誰かのものになると思うと、麗は自分で言った最後の選択肢を選んで欲しいと願ってしまった。


「どっちも選ばないに一票」


すると、蒼羽がそう言った。

なんとなく紘を選ぶと言われると思っていたために驚いたが、それと同時に少し安心した。


「自分に入れないのね」
「いろいろあるんで」


そこで笑った蒼羽に、自虐的意味がないことはわかった。
だけど、麗は深く聞かなかった。


「俺からも聞いてい?」


麗のほうを見ると、首を縦に振った。


「中学のときの事件って、結局どうなったの?」


これは夏音も知らず、紘には聞こうとは思えなくて、ちょうどいい機会だった。


だが、蒼羽からあのことについて聞かれると思っていなかった麗は、驚いた。


「ある部活の部長が部費を使ったことを報告し忘れてただけ。だから記録にズレが生じた。それを含めて計算し直したら、一致したわ」
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