ツインテールの魔法

◆ ◇ ◆


昼時となり、夏音たちのクラスは忙しくなってきた。


「みんなごめん!部活で抜けるね!」


そんな中、夏音はステージ発表の時間となり、衣装を着たまま教室を出ようとした。


「夏音ちゃん、待って!衣装!」


文化祭委員に言われ、夏音は更衣室に走った。


「ノンちゃん、あの……」


衣装を持って更衣室を出ると、小豆が立っていた。
落ち込んで俯くさまはどこか、幽霊のような雰囲気を漂わせる。


「あずちゃん?ごめん、ノン急がなきゃだから、用があるなら歩きながらでいい?」
「うん……」


弱々しく返事をした小豆に疑問を抱きながら、衣装を戻しに行くために歩き出す。


「吉永くんのこと……ごめんなさい……」
「吉永?誰?」
「小説を書いた……」


そう言われて、夏音は衣装を切ったり部室を荒らした彼のことを思い出す。


「あの人、吉永って言うんだ……でもなんであずちゃんが謝るの?」
「それは……私が彼にちゃんと説明しなかったから……ノンちゃんだけじゃない。ノンちゃんのクラスの子たちにも迷惑をかけることになった……本当に、ごめんなさい……」


夏音は小豆が謝る理由を聞いても、納得いかなかった。
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