ツインテールの魔法
歪んだ愛し方
1
文化祭の振替休日に、蒼羽たちのクラスはカラオケで打ち上げをすることになった。
しかしその途中、蒼羽のスマホが鳴った。
「げ」
画面を確認した蒼羽は、そう零した。
蒼羽は部屋を出て、ドリンクバーのところに移動する。
一度深呼吸をし、応答ボタンを押した。
「……もしもし」
「はあい、蒼羽くーん」
電話越しに聞く声に、蒼羽は怯えてしまう。
「ね、姉ちゃん……どうしたの?」
電話の相手は蒼羽の姉、空奈からだった。
普段は滅多にかかってこないために、少し戸惑う。
「母さんに聞いたよー?どうして教えてくれなかったのかなあ」
どこか怒っているように聞こえる。
しかし、蒼羽にはなんのことかさっぱりわからなかった。
「なんの……」
「とぼけんなよー?」
だが、遮られた瞬間にあることが頭をよぎった。
「ファンのこと……?」
「ピンポーン。今すぐ私の家に連れて来て」
さすがに横暴だと思った。
「は!?」
「は?」
すかさず言ったが、それを良しとしない返答に、蒼羽は背筋が凍る。
「すぐ行きます!」
蒼羽がそう答えた瞬間、空奈は電話を切った。
「自分勝手にもほどがあるぞ……姉ちゃん……」