ツインテールの魔法

夏音があまりにきっぱり言うから、蒼羽は絶望的だった。

このままテストを盗んだ犯人にされ、よくて停学、悪くて退学か。


それだけは避けたい。


「夏音、ちゃんと説明してやらないと、都築が泣いてる」
「泣いてない!」


声も体も小さくなっていたはずの蒼羽は、紘の言葉を大声で訂正した。
紘は蒼羽を下に見たような笑みを浮かべた。

苛つきはしたが、少しだけいつもの調子に戻れた気がして、それ以上は言わなかった。


「あのね、蒼羽くん」


夏音は開いていたノートを閉じ、真っ直ぐに蒼羽の目を見た。


「先生は、テストを盗んだ犯人を見つけて欲しい。これしか言わなかった」


夏音の言っている意味がイマイチわからず、首を縦に振るしかない。


「見つけたくても、ヒントがないの。紘くんの問題みたいに、隠してるわけじゃない。だから、見つけられないの」


紘は最初からわかっていたようで、頷いている。


「調査すれば……」
「少しは頭を使え、馬鹿」


紘のどストレートな言葉に、蒼羽は殺意さえ覚えた。
しかし懸命に堪え、紘の説明を聞く。


「問題用紙が盗まれたことについて、聞き込みが出来ると思うか?出来たとして、誰に聞く。生徒か?教師か?教師に聞いたとして、生徒に教えてくれると思うか?」
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